なんてことのない、それは。



   011:柔らかい殻




 私は。殻の中に居た。


 固い殻。
 女という殻。
 サッカーが出来ないという事実の殻。

 色々なものに、自由だといわれていても、それは口先だけで、縛られているのだと。
 それが、たとえ薄い殻でも、幾重にもなって私を囲んでいるのだと。



 私は必死にその殻を突き破ろうとしていた。
 ただもがいた。
 だけど、決してヒビが入ったり、割れることはなかった。


 私は憎んでいた。
 殻が柔らかい奴らを。


 ねえ、どうしてあんたたちの持つ殻は、もう少しで破ることが出来るのに。
 どうして割ろうとしないの。
 サッカー、真面目にしようと思ったら出来るじゃない。
 どうして。
 どうしてなの。





 そのイライラは、柔らかい殻すら持たない生身の人間を傷付けることで発散した。
 本当は、発散するどころか、それがまた私の薄い殻を一枚ずつ増やしていったにすぎないのだけど。













 彼らが殻を破ったと聞いた。
 コイツらなら、と、思った。
 コイツらなら、私の殻を破ってくれるかもしれない。


 でもそれは違った。
 私の殻は、私で破らなきゃいけなかったんだ。


 私の殻を、こつんと叩いてくれたのは君。


 ほら、この殻はお前が思ってるよりは柔らかいぜ。
 出てこいよ。
 そして、それから選べよ。
 全部生身じゃ痛いから、必要な殻は選べ。
 その手伝いくらいならしてやる。



 殻は、私を閉じ込めておくだけのものだと思っていた。
 けれど、守ってくれるものでもあったんだ。

 サッカーが出来ないという殻は、粉々にしてやって、これからのバネにしてやった。
 女という殻は、破ってからもう一度選択した。
 女でも出来ることはある。
 女だからこそ、やれることもある。
 サッカー部に在籍するという殻をつけた。
 時間の制約はあっても、仲間の存在は大きかった。
 母の女の子何だからという日々の言葉は、私にまとわりついて殻となっている。
 でも、それは二人でゆっくりと解いていけば良い。
 身を固くして、ただがなり声で反抗しても、それは結局なんの解決にもならなかったんだ。

 全部いらないものじゃない。
 長い目で見て、私の最良のものを選ぶことが出来たら良い。









 私が今まとっている殻は柔らかくて。
 簡単に破れるけれど、大切にしたいもの。
 なんてことのない、その柔らかい殻は、私を造っているもの。









 最初、破るために仲間の力を借りる有希さんを描こうとしていました。
 けれど、殻って要らないものだろうか、と、感じ方向転換。

 女だということにしこりがあるなら、それは宿命だとか運命だとかそういうものに甘んじているということなのではないかと。
 それに抗いたいなら、私たちは一度離れてみて、それから選択しなおせば良いのではないかと。
 大学の授業を少し参考にしました(笑)


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