選抜からの帰り道は大好き。



  093:Stand by me



 三上先輩も好き。
 タクも好き。
 でも、キャプテンが一番好き。

 選抜に行く時は間宮も一緒だし、練習に遅れちゃいけないから、忙しい。
 あ、間宮って歩くの速いんだぜー、すたすたすたって、なりふりかまわず。

 そんなだから、帰りはキャプテンと二人。

「キャプテン、プレゼントっす」
「?ありがとう」

 俺が握った手の中身も見ずにキャプテンはお礼を言った。
 そいえば、三上先輩が「それは渋沢の悪い癖だ」ってあくびしながらぼやいてたなぁ。
 けど、俺があげたのはそんな変なモンじゃないぞ。

 いちごみるくのアメ。

 キャプテンは「藤代らしいな」と、苦笑してそのアメを口の中に放り込んだ。
 俺もあと一つになったアメを口にする。

「今日また買いに行こっと」

 ご機嫌の俺にキャプテンは髪をくしゃって触ってくれて、俺はもっと嬉しくなった。
 そして俺はもっと嬉しくなるような、凄くいいことを思いついた。

「良かったら、今からアメ買いに行くの、付き合ってくれませんか?」

 微笑んでくれたキャプテンに了解だと感じ、寮から一番近所の駄菓子屋にその足で向かった。



 二人でお菓子を見るのは楽しかった。
 帰り道ちょこっと食べたチロルチョコは美味しかった。
 キャプがおごってくれたポカリはもっと美味しかった。


 どうして俺はキャプテンが好きなのか考えた。

 三上先輩は意地悪だけど、キャプは優しいから。
 タクはツッコミが痛いけど、キャプは苦笑しながら正してくれるから。
 FWとして自在に走り回ることが出来るのも、GKのキャプを信頼しているから。

 だから?だからなんだろうか。


 キャプテンといると、あったかくなる。
 それは、他に誰が居ても同じ。
 あ…桐原カントクと三人…とかはちょっと違うかもだけど。
 でも。二人ならもっとあったかい。たぶん。
 なんでかってゆーと、俺のために居てくれる、ってことじゃん。
 だから。

 でも、なんでキャプテンが、渋沢克朗さんが好きなのか分からない。
 幸せになるのも嬉しくなるのも楽しくなるのもあったかくなるのも。

 そして、時々切なくなるのも。


 こんな気持ちになるのは、キャプテンしかいない。


 これは恋ってやつなのか。
 それともキャプに憧れてるからなのか。

 そもそも恋をしたことがない俺にはさっぱりだ。
 男同士だとか、そんなことは、置いといても。

 まぁ、キャプテンが好きだってことには変わりがない。


「今日は楽しかったな?藤代」

 そんな言葉なんて嬉しすぎて恥ずかしくて手に持ってたボールを軽く落とすと、足先で蹴り上げた。
 キャプテンは驚いた顔を見せてから、笑いながら悠々とキャッチした。

「ナイスっ」

 ああ、俺、今すっげぇ笑ってる。

 この思いはもう止められない。
 だから、お願いです。


 ずっと、俺の隣で立っていてください。

 同じ場所で、傍に居てください。

 愛して欲しいんじゃないんです。

 一緒に居てくれる事だけが俺の望みです。





 そのためなら、俺は全国制覇でもなんでもするから。










 よっぽど悩みのない藤代くんを書きたかったらしいですこの人。
 とにかく渋沢さんが好きで、でもそれが恋愛だろうが単に慕っているだけだろうが、線引きは彼にとってはどうでもいいんですよーってことを言いたかったんですがー…。
 「強い」ことが彼の好きな条件なのかな、という気がします。




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