「絶対に不公平だと思うの」
 小島は引きつった笑顔で言った。



   『男の子と女の子』


「何がだ、唐突に」
 二人が周りからやっとか、といわれながらお付き合いを始めてX年後。






「いや、平等じゃなかったのよ世界は。やっぱり、男の子と女の子って」
 水野の部屋で自分の言葉に納得したように小島は何度も頷く。

「…言葉足らずだ、小島」
「いや、えっとね?やっぱり男の子の方が攻撃性が高いわけよ」
 これを書いている人間は社会学を専攻しているのだから間違いない(筈だ)。

「まぁ、そりゃあな。生まれもってのものというやつだろう」
 これを書いている人間が数日前にジェンダーとセクシュアリティについて学んだのだから(以下略)。
 いや、しかしジェンダーってなんだ??(←A.男女それぞれの性に属する人々に対してその性に相応しいとされる行動を社会的に期待すること/分かった人、私に分かりやすく教えて下さい)

「それでね?女の子には優しくしなきゃって思わない?水野君」
「優しくないと暗に意味しているのか?」
「そんなっ、フェミニストの水野君を捕まえてそんな事を思う筈がっ」

 満面の笑みを見せ付けられた水野はにやりと笑い返す。

「ほーう?」
「てゆーか水野のサッカーテクが更に上達してたとか身長かなり伸びてたとかそーゆートコ不公平よね」
 てゆーかとか言うないくつだよお前。眉をしかめる水野。
 小島は中学2年の時よりは面長になった王子の顔を見てムカついたので目の前の頬をつねった。
 てゆーかなんでそんな整った顔してんのよ憎らしい。

「ひひゃひゃはいはろ」
 日本語訳:仕方ないだろ。
 全く王子顔が台無しだ。手を離した。あはははは、ほっぺ赤くなってる。いなかっぺみたいだ。カッペ!いい気味だ。

「仕方ないってか、自然の摂理だろ、そういうのは。あと、俺の努力」
 サッカーは練習したし、身長もなんとか夜に牛乳を飲んでた結果だ。

 毎日牛乳を飲む様はどこか風祭を思い出させたが。
 If you can dream, you can do it!! 願えば叶う。叶うんだってば小島さん。  


「あと足が速くなってた」
「それも。頑張ってるからな」
 頑張ってるとか努力してるとかそういった言葉はあまり好きではない。
 昔この話を小島に話したらカッコつけ!と爆笑されたのだが。

「私も頑張ってるわよ」
「知ってる」
「でも、アンタを抜けない」

「…悔しい?」
「悔しい」

 小島が水野の目を見ると水野は戸惑った表情を見せた。ばーか、気遣うな。

「…私の選んだ道は、圧倒的に男の子の方が有利だから」
 プロになろうと思ったら門戸は広いかもしれない。女子サッカーの方が絶対数が少ないからだ。
 しかし、女子対男子となると、確実に負ける。テクニックでは勝る所もあるかもしれないが、基礎体力が追いつかない。
 瞬発力も筋力も、どれだけ鍛えても、負けるのだ。一般男子には勝てるだろうが、それでも。

「世界のトップクラスで一緒にプレイすることはできない。中学のあの時みたいに」
 あの時水野が試合に出すことができないと言った時のように今自分もその言葉をかみしめている。

「悔しい?」
 もう一度聞いた。

「悔しいよ」
 もう一度答えた。

「けど、フィールドが全然違うから。…よっぽどの時は野球とバスケだと思うことにした」




 水野は小島の髪を探った。さらさらと心地良い感触が彼を本題に引き戻した。
 足をほんの少し閉じた。それに小島は反応して眉を寄せていた。

「あのさぁ、こじ」
「それでも不公平よね」
 小島はわざとらしく水野の言葉を遮った。
 水野はというと、はぁ、と声を出した。こちらもわざとらしいため息の音だった。

「だって受け身よ?嫌じゃない、自発的じゃないっていうのは」
 水野に指を突きつけた。
 二人ともわざとらしいのは、キツネとタヌキの化かし合いの様で(キツネでもタヌキでもない)馬鹿馬鹿しいと水野は思った。
 …馬でも鹿でもないが。

「で」
 水野は身動きせずに小島を見やった。さっきから距離は近いためにずっと目は合ったままだったが。

「結局何が言いたいんだ、お前は」
「…言って欲しいの?」
「何となく分かるが」
「じゃあ言わなくてもいいでしょ?」
「さぁ?」
「…言ってもいい?」
「ドウゾ」

 小島はさっきのように引きつった笑顔で言った。

「男の子と女の子って違うわよね、絶対不公平だと思うの」
「ほう」
「だから」

 今度は、最高の笑顔で。

「どいてくれるかなっ、水野君っ」

 つまりは、俗っぽい表現をしてみると。
 “押し倒されている”。途中。

 水野君はしばし考えた。
 ずれながらベッドを背にしている、自分の影にすっぽりと収まる小島さんを見て。


「まぁ良く使われる言葉を用いると、“男の子には男の子の事情が”…」
「し、知るかーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」










 どうして今日に限って水野家には誰も居ないのか。いつもおばあちゃんがいらっしゃるんじゃないの!?
 そもそも「水野って何もしないわよね」とからかったのがいけなかったのか。
 小島は頭を抱えたかったが、今は水野の肩を両手で懸命に押すことに精一杯だ。

 お兄ちゃん…有希はどうすればいいですか…!

 心の中で呼びかけてみるも、兄が答えてくれる筈もなく。




 小島の首に唇が落とされて、何やらブラウスのボタンがひとつ外されて。


















 しかし水野が次に言ったセリフは「男の子より女の子の方が攻撃性高いんじゃないですか」というものである。
 何があったかというのは可哀想な水野君の名誉(そんなものがあったとするのならばだが)の為に伏せておくことにしよう。


 押してはかるべし。














 あっはっは、ごめんなさい!ギャグになってませんね。中途半端〜。
 最初はもっといつも通りの感じでこういう内容の会話にしようと思っていたんですが、最後の
「男の子には男の子の事情が」を水野に言わせたいが為にギャグっぽく!(うわぁ)
 …水野好きですよ?てか私の書く水野はことごとくエセだ。



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