色々あった年だったけど



終わってみれば結構楽しかったのかもな






+年始め+






同じ方向に流れていく駅の人混みの中を上手い具合にすり抜けて行きながら笠井は待ち合わせの場所へと急いだ。
時計の針が指しているのは午前9時過ぎ。待ち合わせの時間は過ぎていた。
−やっぱここじゃなくって別の神社にすればよかったかな?
人の余りの多さに半ば呆れながら遠目に三上の姿を見つけた。



人混みに紛れながらやってくる笠井の姿に三上は取りだそうとしていた携帯から手を離した。
「…竹巳!」
そう呼びかけて手を挙げると、笠井も手を挙げ近寄って来た。
「三上先輩!遅れてすみません!」
「別に良いよ。お前の方が家遠いんだし。…それより、あけましておめでと。」
「あ、あけましておめでとうございます。」
実際には年明けとともに電話で言っていたのだが、改めて顔を合わせて言ってみるとまた違った感じがした。
「家の方は大丈夫なのか?」
「はい。朱巳が何とかしてくれて…。」
「ふーん……、じゃそろそろ行くか。」
そう言ってごく自然に笠井の手を取って歩き出そうとする三上に、笠井は慌てた。
「三上先輩っ!?」
「大丈夫だろ、人混みで誰も見てねぇよ。」
それとも嫌?なんてどこか確信めいた笑みで聞いてくるから、断れる筈もなくって。
「……イヤじゃないです。」
そう言うしか無かった。



人混みを進んで行く中で三上の携帯が鳴っているのに気付いた。
「三上先輩、携帯鳴ってますよ。」
「…あぁ。」
そう言って胸元から出した携帯画面を見て、三上が顔をしかめる。
「……渋沢からだ。……はい。」
さすがにここじゃあ渋沢の声なんか聞こえなくて、2人は進みながら話をしていた。
「…バカかてめぇ。んな事自分でしろ。」
何話してるのかな?と思う。確か渋沢は奈良に住んでいて、今日は藤代に会う為に東京に行く、と聞いていたのに。
伺う様に三上を見上げるとその視線に気付いて、頭をポンポン、と叩かれた。
「分かったよ。分かったからんな声だすな。…ん、じゃあな。」
「渋沢先輩何だったんですか?」
「藤代の家の駅までいったけど家の場所分からないから藤代呼び出してくれだってよ。」
「…誠二に内緒だったんですか?」
「バカだよなー。」
肩を竦めて藤代のメモリを呼び出そうとする三上を止める。
「あ、俺からかけます。誠二に電話するって言いましたから。」
そう言って自分の携帯を出そうとした笠井を止めて、三上が自分の携帯を出す。
「これ、もう掛かってるから。」
「あ、はい。」
それを受け取って、耳に当てるとプルル…、とワンコールした後に藤代に繋がった。
『もしもし…?』
「あ、誠二?俺。」
『え…?……竹巳!?えっ、三上先輩の携帯…!!?』
向こうで藤代の混乱している声が聞こえてくる。それに笑い、言葉を続けた。
「うん。今一緒なんだ。それよりあけましておめでと。」
『あー、そうなんだ。焦ったー。あ、うん。あけましておめでと。』
「誠二今何していたの?」
聞こうとした所で、三上に電話を取られた。
「おい、バカ代。今から20分以内にお前の地元の駅に集合。…あぁ?俺様の言う事なんだから聞け。じゃあな。」
それだけ言うと電話を切られた。
「…よし。んじゃ行くか?」
「え?」
三上の言葉に聞き返すと、前を指さされ、笑われた。
「賽銭、しねぇの?」
「あ、します!」
「忘れてんじゃねぇよ。」



お参りを済ませた後は喫茶店で話をして、色々していたらすっかり日が暮れて帰る時間になった。
「…名残惜しいですね。」
「んな事言っても明後日には寮で会えるだろ?」
そう言うと三上はまた笠井の頭を叩く。
「じゃぁな。」
「はい…。あ、三上先輩!」
呼ばれて振り返ると、笑顔でこちらを向いていた。
「今年もよろしくお願いしますね。」
「…おう。」







+アトガキ+
藤代君の誕生日なのに三笠を書いている私は本当に三笠スキーなんだと実感。
渋藤単体で書けないといい加減認めろとあちこちから言われてますが…。



今年があなたにとって良い1年でありますように。





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