恋をしていると


ほんの僅かな事にでも期待してしまう。





+希望的観測+





今日も今日とて桜上水中サッカー部には、サッカー馬鹿が集まっている。
正規の練習が終わって、練習後の部長とコーチのミーティングが終わるまでの数十分。
2年を中心としたメンバーはミニ・ゲームをしていた。



「カギしめるぞー!」
ミーティングが終わったのか、水野が部室の側で声を上げる。
見ると彼はもうすでに制服へと着替えていた。
その声を聞いてゲームをしていたメンバーは慌てて部室に駆け込み汗でベタついた服を着替える。
その様子を1目見た後、水野は部室の外に出た。



「キャプテン、これどうぞ。」
横から声を掛けられて、振り向くと1年の桜井が缶ジュースを差し出していた。
「ありがとう。…これどうしたの?」
「香取先生が差し入れだって。…でも買いに行ってる間にみんな帰っちゃったんですね。」
良く見ると手には大きなコンビニの袋がぶら下がっている。
それを受け取って、中身を見る。
「…中に残ってる奴らに2個ずつ…かな?」
「そうですね。」
「桜井さんも先に取ってて良いよ。」
「あ、はい。」
そう言われて桜井は袋からジュースを1本取る。
「…小島は?一緒に買いにいったんじゃないの?」
「小島先輩なら香取先生にお釣り返しに行きましたよ。」
「そっか…。」
そんな事を話しているとちょうどタイミング良く小島が帰ってきた。
「…参った。オカマダに捕まっちゃった。」
サッカー部を目の敵にしている学年主任に、部長が捕まって難癖付けられるのはいつもの事だ。
「それで?」
「もっちろん!やり返したわよ。」
ガッツポーズを取る小島に、苦笑する。
「有希先輩もいりますか?」
「いるいる!」
そう言ってジュースを取り出し1口飲む。
「…はぁ、生き返るわ。」
「有希先輩ずっと我慢してましたもんね。」
その言葉を聞いて、水野の頭に1つの疑問が浮かんだ。



帰り道。
いつからか忘れてしまったが、いつもの習慣で、水野は小島を途中まで送り届けていた。
その途中、先程までしていたサッカー対談を止めて、小島が水野の顔をのぞき込む。
「…何?」
「こっちこそ何よ。さっきから難しい顔しちゃって。」
「そうか?」
「そうだから言ってるの。」
自然と足を止めた水野にあわせて、小島は彼の前に行って向かい合う。
「学校でる時から。気になってしょうがないのよ。」
聞きたい事でもあるの?と首を傾げてくる小島に、水野は溜め息をついた。
「…じゃあ聞くけど。何で我慢してたんだ?」
「ハァ!?」
再び歩き出して、2人は話を続ける。
「買い出しで俺と行く時、必ずどっかに寄って何か食うだろ?」
しかも俺の奢りで。
「なのに今日桜井さんと行った時、『我慢してた』って行ってたから。」
「み、みゆきちゃんに奢らす訳にいかないじゃない。」
「じゃあ、自分で買えば良いだろ?別にみんなミニゲームしてたんだから帰らないし。」
「…何が言いたいのよ!?」
逆切れした小島を宥めて、水野は肩をすくめる。
「何って訳じゃないけど、何か引っかかって。…じゃあココでな。」
気付くといつもの分かれ道だった。
そう言うと、水野は手を振って右の道に曲がる。



水野の姿を見送って、小島は溜め息を付いた。
「…ばれてない…訳ね。」
冷や汗かいちゃったわ。
汗を拭う動作をして、小島は左の道に曲がった。
まさか言えまい。
たった少しの時間でも、水野に休んで貰いたいから寄り道をしているなんて。



家までの道を歩きながら水野は溜め息をついた。
「…まさか…ね。」
ずり落ちてくるカバンをかけ直しながら水野はもう1度溜め息をついた。
あまりにも自分勝手な考えかもしれない。
自分の為に寄り道をしているなんて。
でもそう考えてしまうのは、確かに自分が休めているから。



とりあえず、2人は家族にばれない様に赤くなった顔をどうにかしなくてはならなかった。







+アトガキ+
…アレ?これ将みゆのつもりで書いたのに。
しかし水野溜め息多いよ(そう書いてるのは自分です)。






  Back









本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース