水野竜也+小島有希 |
ねぇ、水野。 あたしは、孤独に耐えても、水野は孤独にならないように愛したげる。
…目指す所が間違いまくって出来た感じです 水野は、小島の、目に痛いほどの赤いスカーフの結び目を緩めた。 それは愛情表現で抱こうなどとは、微塵も感じさせられないような目でやった。 でも、無理矢理に、どうにか欲望に任せようなどとも思わせないゆるやかな動きだった。 赤いスカーフを引き抜いた。しゅるり、音がする。そこで、水野の腕はだらりとだらしなく垂れた。 「…み…ずの」 水野は答えない。何も言葉を発しない。 スカーフは、小島の手によって、ふわりと水野の肩を覆った。 水野に触れているのに、体温が感じられない。柔らかさは確かに水野のものなのに。 小島は、堪らず、水野の頭と腕に手をやった。 それは暖かく抱え込むように、母親のように、慈しむように。 ねぇ、水野。 あたしは、貴方に見てもらえない最大の孤独に耐えても、水野は孤独にならないように愛してあげるから。 今、今は無償の愛をあげるから…。 無表情の水野の左手が小島を掴むのは、しばらく経ってからのことだった。 |
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