うたからうまれた・・・
「そんな だいすきな きみに であえたのは」
お気に入りの歌。
この日は、バカみたいにずっとこの歌だった。
学校の廊下。
くちずさむ、周りの人も聞こえる音量。
「このうたを きっと」
普段はあたらない予感が。
「「うたっていたから」」
声が重なった。
目が、合った。
一人の男の子だった。
それまで話したことのない子だった。
でも、予感がしたんだ。
何というタイミング。
同じ歌を同じ時間に同じ場所で、同じフレーズを。
ぴたり、と重なった。
そんな小さな奇跡。
予感がしたんだよ。
歌のせいだけじゃない。
その男の子がそっと微笑んでくれたから。