赤の章。〜彼にしか見えない彼の色〜 |
笠井はベットの上。 三上はパソコンの前。 ここは三上の寮の部屋。 二人は無言だった、もちろんお互いそれでも良かった。 笠井は明日の小テストの英単語を覚えていたし、三上は調べものがあった。 パタン、と笠井が教科書を閉じると三上はその音に反応した。 「覚え終えたのか?」 三上はまだパソコンの方に向いたまま。 「まぁ…8割方は」 三上のベットに座り直す笠井。 「上出来じゃねーの?」 インターネット回線を切り、座ったまま身体を笠井に向ける。 笠井の笑顔を見ると再びパソコンへ向かい、終了ボタンを押した。 三上がすっと立つと笠井は少し横へ移動した。 そこに三上が座る。 完璧に、でも自然に息が合っていた。 「…赤、凄い似合いますよねー、先輩」 「そうかぁ?」 唐突に言われたそれは、とても意外な言葉だった。 自身は紺や黒が好きだったし、似合うのもそれだと思っていたからだ。 おまけに今日、赤いものは身につけていない。 「ドコが?」 その問も無理はない。 「…唇…。キレイだなーって」 確かにそれは整っていて。 彼の肌、瞳、漆黒の髪に良く似合っていた。 彼は取り敢えず反撃に出た。 「そういう竹巳は白。純白な。決定。」 理由を訊く笠井に笑顔の無視を決め込む三上。 「俺は言ったじゃないですか!…恥ずかしかったのに」 しかしとて、もちろん、三上の作戦なのである。 じらしてじらしてやっと言う。 どんな反応をするか凄く楽しみだ。 最高級の、デビル・スマイル。 「シーツの色。」 |