青の章。〜空の色の君の瞳〜 |
「水野の名前って青色の字ね。」 クラブ名簿を見ながら有希は笑う。 珍しく昼休みなのに屋上は空いていた。 有希と竜也の他には、竜也の視界からは三人の姿だけ。 「青?」 当の竜也は怪訝な表情。 「『水』…だからか?」 誰でも安直に考えればそうだろう。 「ううん、それもあるけど、全体的に、かな」 彼女は昔から者に色のイメージを付けていた。 ピアノの音、駅の名前に自分の気持ち、人。 その想像が好きだった。 今でもその習慣は続いている。 簡潔にその旨を伝えると、彼はふーん、と言った。 「じゃあ小島は?」 「私?」 「そう、小島自身の色。」 「…………笑わない?」 「時と場合と台詞による」 そんな言葉は彼なりの冗談のようなものだと有希は判断した。 竜也は、作戦や練習内容が書かれている部誌を、もう用は済んだとばかりに ぱたんと閉じ、有希に目をやり答えを促す。 「…白。」 「……。」 「…べっ、別に白だからって純粋で乙女vとか思ってるんじゃないのよ!?」 つまり。 「…有希は、希望が有ること。それは未来。未来は、白。」 つまりはそういうこと――竜也は納得して上を仰いだ。 そういえば今日は快晴だ。 雲はない。 下の方に霞がかっているだけだ。 ふと思いついて言ってみた。 「青と白を混ぜたら、空色だ。」 二人して見上げた空は、確かに青と白の中間色。 二人が見つめ合った瞳は、きっと青と白の中間色。 |