未来への一歩



サッカーには、怪我がつきものです。
私も、しばしばあちらこちらに傷を傷を作り、兄や両親に心配されます。

しかし、やはり人の怪我を見るのは嫌なものです。
だから願うのです。

水野が怪我をして帰って来ませんように。

シゲの笑顔と痛々しい真っ白な包帯を思い出すと。
どうしても水野がシゲのように笑えるとは思えないのです。
もし作れたとしても…私はそんな顔は見たくありません。
私にその作った笑顔を止めさせる力はないのです。
それが出来ると私は一番嬉しいのですが。

―――それでも、そもそもの原因がなければいいのです。
嫌な予感がしたのです。
おそらく、私の杞憂であると思うのですが。
本当は私らしくないのです。
私らしい、と定義づけるのは難しいのですが。
自分の頭の中だけで考えて心配して落ち込むような。
そんなネガティヴな人間ではなかったと思います。
いえ、思いたいだけなのかもしれないのですが。

そんな自分勝手な事を思っていたせいもあるのではないか。
そう思わざるを得ない出来事でした。
水野が、ではなく、風祭が怪我をしてしまいました。


再起不能とまで、言われたようです。
みゆきちゃんは泣いていました。
私は大切な仲間がそんなことになったのだから心配しました。
しかし、みゆきちゃんほど取り乱したりはしませんでした。
心の中で、どこか、ほんの少しですが、水野ではなくて良かった、と。
思ってしまった自分が憎くて憎くて仕方ありません。

更にそのせいもあるのでしょうか。
皆、バラバラになっていきました。
私は留学で、風祭はドイツ、シゲは京都、水野もプロへ。
でも、それで良いと思います。
私は私で頑張れました。
きっと風祭の怪我の理由を聞いたからでしょう。
それがきっと一番良かった選択だったと、そう思える今はとても幸せです。

きっと、だけど、絶対。

今まっすぐ空を見上げられるから。

小島有希、18歳になりました。

　 小島嬢の笑顔が好きなのです。
　　ていうかＨＰ復活第一弾が笛最終回記念に書いたＳＳってどうよ(聞くな



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