「みーずのっ」
…小島が疑って下さいと言わんばかりの笑顔で、とても綺麗な笑顔で言った。
微笑みの爆弾
「…そういう顔を俗に“うさんくさい”と呼ぶ」
「( ̄□ ̄;)」
「器用なヤツだな、顔文字なんか言って」
「あんたこそナレーションみたいなこと言ってんじゃないわよ」
「…で?」
いつもの教室。ごくごくいつもの休み時間。
ぎしりときしむ音を立て、水野は椅子にもたれた。
「要求は何だ?」
「あら水野、珍しく良いオトコねー」
「珍しくは余計だ」
きゃらきゃらと笑う小島は水野から見て明らかにおかしかった。
ついでにナルシストが入っている水野もおかしいが、残念ながら突っ込む人間はいない。
小島はふと真面目な顔になる。手は胸元でからめられている。
「…お願いがあるの。うんって言ってくれるわよね?」
怖いですうんって言わないと殺されそうな顔してますよ何なんですかその顔は小島さん。
「…お願いによるが。」
やっとのことで言えたのがこんなセリフだとは情けないことこの上ないが、更に目をそらしつつ固まっている。というのは蛇足かもしれない。
「今日の放課後、水野の家に遊びに行きたいのっ」
「…へ?」
意外な言葉。クラスメイトもどうやら聞き耳を立てているらしい。ざわついているのは囮だ。もっとも、水野と小島本人は気付いていないのだから上手いのだろうが。
「何か…話し合わなきゃいけないことでもあったか?」
「ううんっ、そんなこともなくて!一緒に遊びたいなぁっ、はい復唱!「うん!」」
「う…うん」
しまった!と、水野は思った。
い、良し!と、小島は思った。
そして他のクラスメイトの多くは、水野の押しのあまりの弱さに呆れ、某新聞部の少女は眼鏡を光らせた。
結局彼女の目的はホームズだったとか、彼が変な期待をちょっとしてしまったとか。新聞部の彼女がスクープ記事を書いてみたとかはどうでもいいといえばどうでもいい話だろう。
マイ設定の不破夢相手の新聞部の少女をフライングしてちょこっと出しました。
まあ、この話自体がどうでもいいといえばどうでもいい話ですね。
どうでもいいついでに題名が幽白のOPかなんかの歌と一緒な気がします。
どっちかというと微笑みの起爆剤って感じ。さらに波紋は広がっていくという。
受験時、現実逃避して書いた一本。
Back
|