111.化学物質

「…それ、いくら?」
「これ?」
「それ。クビワ。」
「首輪ってアンタね…。2000円ぐらいかな」
「げ、高い」
「そりゃあピンキリだけど、まあ、ネックレスってそんなもんよ?」
「ふーん。」
「で、アンタのは?」
「俺の首輪?2000円プラス消費税っ。」
「…一緒じゃないの」
「違うって、これチタンとかいうヤツ入ってんの。スポーツ選手っぽいだろ」
「は」
「化学物質だからさー、その分高いわけ」
「化学物質…ねぇ…嘘くさ…」

  
さっき野球中継見ただけなんですけど駄目ですか。





112.レシピ

「レシピ通り、作ったって言ったよな?」
「ええ、言いましたよ」
「なのにどうして、こんなにクッキー赤いんだよ?!」
「……血…かしら?」
「……」
「……」
「……」
「…さ、めしあがれ」
「クッキーでどうして血が出るんだよ!!めしあがれじゃねぇ!」
「うふふ」
「うふふじゃねぇーー!!」
数分後、彼の胃の中にそのクッキーがおさまったかは。
……彼がその1時間後に薬局で目撃されたことで説明がつく、かもしれない。


  
突っ込みまくりで、少年。





113.年間行事

「はい、豆。」
「豆。」
「豆。」
職業:保育士の彼女に手渡された豆を、言葉と目で反芻する。
「…んで?」
「今日はね、節分なのです!」
声高に叫んだ彼女から、そのままお面を渡される。
「それは食べて良いから、今年は宜しくね!」
にっこりと微笑む彼女の手には…大量の豆。
「皆〜、このお兄ちゃんが鬼だよっ!」
「え、ちょ、待て」
飛んでくる豆の雨はちょっと痛いどころではない。
彼女に誘われて職場の幼稚園、なんて。
もうぜってえ行かねえ……!!

  
ヘタレ。(笑)





114.捏造

「出しなさい」
「……はい。」
恒例のテスト返却と同時に行われる家族内結果発表。
「これです」
国語45、数学82、英語81、理科29、社会40。
ぴくり、と母の眉が上がる。
「あんたこれで騙せたと思ってるの?」
びくう!大げさなほど少年の肩は揺れる。
「数学と英語。これ、32点と31点でしょう」
「どどどどどうしてそう思うんだよ」
「印刷に鉛筆で書き加えられてたら、馬鹿でも分かるよ」
母の目は誤魔化せなかった。

  
というかこの50点も上がるとそれ以前にバレバレです。





115.時の果て

時の神クロノス。
なんだか、響きが格好いい。
それだけで何となく好きになれるのだから、自分もたいがい簡単な奴だ。
時間というのはふしぎだと思う。
誰もに均一に流れているものなのに、そうとは感じないことが多々ある。
多忙を極めている芸能人は、本当は自分よりもっと時間を持ってて、
もしかするとその時間で裏番組に出てるのかもしれない。
自分なんか、ぼーっと過ごしていたらそれだけで一日が終わっていて。
いつか行けたらいい、時の果て。
そうすれば、時間なんて意識せずに、日々を送ることが出来るのに。

  
ネガティブさを出したかったような。





116.体操服

「これ、絶対におかしいと思う」
クラスメイトの少年が水飲み場で話しかけてくる。
「どれ?」
「この穴だよ。体操服がこんなに破れやすくていいと思うか?」
長ジャージのズボンの膝は見事に穴があいていた。
「何、引っ掛けたの?」
「いいや、バレーでダイビングして球拾ったんだよ、そしたら摩擦で」
破れた、と。
確かに彼の体操服は擦りむけているような箇所があちこちにある。
「……お前のは綺麗だよな」
「だって体育真面目にしてないもん」
彼は苦笑して、やってみると楽しいかもしれないぜ、と言った。

  
うちの高校では、男子の殆どが破れてました。





117.本気だよ?

放課後、静かな廊下、夕焼け、響く足音、赤い、赤い、赤い。
2つの足音が大きく響いている。
「はあっ、はあっ、はあっ」
「…んで、逃げんだよ!」
「だって、追っかけてくんだもん!」
「わっけわかんね!」
「やだよ、嫌だ、も、あたしの方が分かんないよ」
廊下の端にぶつかって、だってもう逃げる場所がない。
座り込むしか自分の身を守ることが出来ないなんて情けない。
「なあ、わかんねんだよ、だから教えろよ」
顔に意識が集中する。
ああ今涙できっとぐちゃぐちゃで、冷たい何かが喉を通る。
「わかんないのは、あたしだよっ…」
「なあ、こっち向いて」
「い、いや」
「キスしたいんだけど」
「い、いや!」
「100歩譲って抱きしめていい?」
「だ、め…!」
拒絶のための涙は止まり、背中に感じる温もりでびくりと大きく反応する。
「だめだ、って、言ったのに……」
次に溢れた涙は、何のためのものか。
「なあ、俺、本気だよ?」
だから、だから……。

  
ギリギリのシチュエーションに萌える。





118.唄

「唄って不思議だよねぇ」
「何だ唐突に」
「子守唄みたいに眠くなる唄もある」
「ああ」
「んで、ロックみたいに叩き起こされるようなのもあるでしょ」
「まぁそうだな」
「うんうん」
「で?」
「で?って?」
「だからどうした」
「どうもしないよ」
彼は脱力して少女を見た。
少女は今流行のポップスを、大声で楽しそうに歌った。

  
唄というのはどっちかというと邦楽を差すらしいですがまあいいか。





119.じっとしてて!

「じっとしてて!」
「……何。」
「まばたきもしちゃ駄目!」
「そりゃ無理なお願いだな」
「いいからー!!」
「そもそも何でだよ」
「いや、あんたのまつげをちょっと見たかったのよ。うっわぁ長ー」
俺は瞬時にむっとして、高速で動きまくってやる。
「やー、もう、じっとしてて!ってば!」

  
男の子の方がまつげ長い人多い気がします。





120.先輩

「先輩。肩凝ってません?」
いたずらをするような笑顔で、とある1年ボーズが俺に言った。
「ん?いや、別に」
「ちょっと触らせてください、あ、凝ってる。俺揉みます」
「いやいいよ、今日は」
「やらせて下さい」
「…? ま、いいけど。珍しいな、あんまり俺様を敬わない後輩君にしては?」
「何言ってるんですか。敬ってますよ」
「そうか? あー、結構気持ちいー」
完全にリラックスした俺は眠気に誘われた。
しかし、その直後。
「〇#$дЩ◆@!!???」
服と背中の間に落とされた、妙にしっとりとしてそれでいてちくちくとするこれは…。
「…おい?」
「すみませんすみません、罰ゲームで先輩の背中に蛙入れて来いって…!」
「誰だ!んな妙な命令したヤツは……!!先輩だからって…反抗しやがれ!!」
おもちゃの蛙を何とか取り出し投げつけて返す。
しかし後輩が言ったのは、3年生のキャプテンの名前。
「…そりゃー、俺も逆らえねーや…」
2年生の俺は、小さく溜息を吐くことしかできなかった。

  
先輩後輩の関係って大好きなんです。




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