101.伝えたい

伝えたい、ただそう思った。
「好きです」
たった一つの言葉。
全く、どうして私は、こんな一言だけに何時間も逡巡してるんだ。
頭を豪快にがしがしと掻くと、気付いた。
しまった、せっかくセットしたのに。
慌てて鞄の中からブラシを取り出して丁寧に梳く。
溜息を吐きながらやっぱり好きですと伝えたいと思った。
伝えた後、どうなるのかなんて、どう言われるのかなんて怖くて考えたくない。
それでも考えてしまって、それでもまだ伝えたい思いが強いのは。
「…そろそろ年貢の納め時かねぇ」
忘れて頭をがしがし掻いてしまって。
しかし今度は手ぐしで直した後、席を立った。

  ぎゃ、ぎゃあ…。何かこれ、HPのUP処女作の「こくはく。」に類似…。





102.ライム

彼はいつもチューハイのライムを呑む。
格好に気を遣っていて、ブランドが好きな彼。
なのに呑むお酒はチューハイ。
しかもどこにでもあるようなライムのチューハイ。
「雰囲気はワイン通なのにね」
「俺も思うよ。ワインが好きになれたらいいのにって」
「ふうん?」
「でも、どうしてだろうね?この色を付けられた庶民派な味が好きなんだ」
「へぇ」
「俺にとって君もそんな感じ?」
「思ってたけど言わないでほしかったな」
「ごめんごめん。悪い意味じゃないんだ。ただ君は俺にとって、」
「…ライムみたいにちょっと苦い存在?」
「違うよ。病み付きになる感じ」
そう彼は言って、ライム色の宝石がついた指輪を取り出した。
「エメラルドはお好きですか?お嬢さん」
エメラルド、その心は「永遠」。

  エメラルドは5月の誕生石ですね。





103.クリスマスイブ

「ま、ようはキリストの誕生日の前日な訳でしょう」
「…そうかな」
「その日ならいいわよ、その日なら。けど前日って何よ」
「凄い人だから前日も祝うんじゃないのか?」
「当日なら信者じゃなくてもおめでとうって気になるわよ、けど前日よ?!」
「つまりイブは一緒に過ごさない、と」
「……ごめん!急に仕事入っちゃったのよねー。天皇誕生日利用しても無理ね」
「原稿の量凄いのか?」
「え、えへへ、一応24日の夕方4時締め切りで後二日で……」
「二日で?」
「ページ構成含めて丸4ページ。こんなページ数、任されたの初めてよ…」
「キツイな。で、テーマは?」
「“クリスマス。貴方と一緒に過ごしたい!”」

  現実的には、12月の時点でそんな原稿は脱稿してるとは思うんですが。





104.卒業証書

「卒業証書、どうする?」
「どうするってそういうことだ?」
「その後。俺んち母さんが額買ってきて部屋に飾る気みたいんだんだけど」
「ははっ、お前んちの母さんらしいな。俺は…筒に入れたままかな」
「ま、そうだよな」
「やっほー。卒業おめでとっ。あ、何の話してるの?」
「卒業証書、これからどう保管しますかって話」
「そうなの?私ねー、好きな人と交換してきた」
「何ソレ」
「好きな歌でね、卒業証書とっかえっこ、ってフレーズがあったの。それで」
「へー」
「じゃ、またねー」
「おー」
「またなー、元気で」
「……で、どう思うよ」
「そうだな、俺たちも交換でもしてみる?」
「で、俺んちの額にお前の卒業証書が入れられる訳だな」
「…止めとくか」
「…そうだな。卒業式に、なんて緊張感の無い会話をしてるんだ俺たちは」

  川本真琴「桜」。今でもずっと大好きな歌です。





105.チーズ

「チーズはどこへ消えた?ああ、読んだ読んだ」
「しっかり読んだの?今度の読書感想文の課題図書なんだから」
「つまり、無くなったからといって嘆くばかりでなく見つける為に行動しろ、だろ」
「へぇ…ちゃんと読んだんじゃない」
「ま、インターネットって便利なモンがあるお陰だな」
「…それ、先生には言わない方が賢明ね…」

  懐かしいものを持ってきたな、私…。





106.指先

たぶん、これが、ドの音。
それからは流れる音にどの音が鳴らされているのか分からなくなる。
うっとりと彼の指先を見つめる。
流れる音に合わせて流れる指先。
ああ、指先に合わせて音も流れているのか。
……そう、でも、そんなこと、どうでもいい。
聴覚と視覚から、幸福感に溢れる。

  生のピアノ演奏聴きたくなったなー。(…あ、授業で週1回聞いてるか)





107.天使

「天使のブラって詐欺ブラだろ」
部活の男子がふと放った一言に、女子一同、顔が引きつった。
「…な、何てこと言うのよ!」
「そうよ、デリカシーのない」
「な、何だよ、本当のことだろ」
「何がよ」
「寄せて上げてる上に詰めてるなんて詐欺だろう」
「詐欺じゃないわよ、いいじゃないアレくらい」
「俺は騙されたんだ!」
「…ねぇ、誰に?とかは聞かないでおいてあげるから」
「…いい加減墓穴掘るのは止めなよ」
「ぜ、全員同情の目で見るなーーー!!!」

  似たようなこと言われた経験あります。男子さんはアホですね。





108.何も出来ない。

じぶんのげんかいを、しった。
何も出来ない。
そう、自分の肩に圧し掛かってきた事実は。
一人の友人の雑学によって、軽くなった。
「自分の限界を知るのって、普通人生の後半に入ってからなんだって」
首をかしげる自分に友人は笑った。
「じゃあさ、早くに知ったお前は、普通の人より高い所に行けるよ」
心に風が吹いた気がした。
何も…、今は、出来ない。
けれどきっと今足掻く努力をすれば、限界なんて超えられるかもしれない。
超えられなくても何か見つけられるかもしれない。
何も出来ない。
けれど、何か、出来るはず。

  む、「恋で何も手につかない」をイメージしたお題だった筈が…。





109.大切

「…なに」
「いや、可愛いなと」
「…その減らず口どうしてくれようか」
「い、いひゃいいひゃいいひゃい…にゃにふるんら…」
「あまりに適当なこと言うからよ」
「えー?ホントのことなのにー」
「そんな口から生まれたような男は信用しないって決めてるの」
「ひっどーい」
「可愛くないからその口調やめなさい。女子高生か」
「ふむ、女子ではないけど、高校生ではあるな」
「じゃ、私帰るから」
「ええー、一緒に帰ろうよ。置いてくのは酷いじゃないか」
「帰ると声をかけただけ有り難いと思いなさい。じゃあ」
「ちょ、待てよ。マジで女の子の一人歩きは駄目だって。もう暗いし」
「平気よ。全く、どうして私なんかに構うの」
「…聞きたい?」
「さあ?じゃあね」
「待てって。……だから、…君が、一番大切だから。好きだから」
「……ねぇ、あのさ」
「……うん」
「どうでもいいからっ手を離せこの変態!私…帰るから!」
「………あーあ、一人で帰っちゃったよ……追いかけますか」

  この会話楽しいなあ〜。とある小説の二人をイメージ。





110.環境

サッカーできる、この環境に感謝する。
ありがとう、君のお陰。
私がボールを蹴って、そうしたら君がベストポジションで蹴り返して。
そんな、些細なことが極端に嬉しい。
心が、身体が、中心から熱くなってく感じ。
ボールがあって、君が居て、健康な私が居る。
そんな、最高の環境に、本当に感謝する。

  お、オリジナル…?(笑)




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