031.焼肉

私と焼肉は深い因縁がある。そりゃーもう黒海ぐらい深い。
あれ、カスピ海だっけ、世界で一番深い湖って。
琵琶湖じゃないことは確かだ。まぁいい。焼肉だ。
七歳の時、七五三の帰りに食べた焼肉はカルビだった。
と、思ったら記念すべき初歯抜けだった。
十四歳の時、韓国料理店で食べた焼肉の横にあった唐辛子。
辛すぎて泣いた記憶はまだ新しい。
一九歳の時、初めて呑んだのは焼肉屋でだった。
酔ってはいないとは思いながらも男友達に膝枕して貰った。
どうでもいいけど焼肉って言葉見るたび「弱肉強食」を思い出す。
Q.「○肉○食」に当てはまる言葉は?A.「焼肉定食」ってやつ。


  実話がどれかは敢えて!ええ敢えて言いません。





032.答え

なんでも的確に答えてくれる人がいます。
その人はとてもあたしからすれば頭がよくて。
考え込むなんて姿を見せずさらりと答えてくれるのです。
その刹那的に答えてくれる姿が大好きで。
でも一度考え込んで、困らせてみたくて。
「あたしのこと好きですか?」
と問うてみた。
「うん」
あまりにさらりとしすぎていて。
あたしはそれが恋愛感情としてか友情か聞き忘れてしまった。


  ある意味はじめての曖昧な答え。





033.秘密の呪文

これを唱えたら絶対に成功する呪文なんかあったらいいなぁ。
「馬鹿かお前」
「馬鹿とは何よ馬鹿とは」
「そんなもんに頼ろうとするからだ」
「えー、いいじゃん。希望を言ってるだけじゃん」
「そんなもんあったら今この部屋がケーキで埋まるわ」
「そんなことになったら嬉しいなぁ〜楽園に変わるわ〜」
「あのなぁ…」
もういい、と背を向けて、雑誌を取り出して。
「おーい、好きだよー」
手をメガホンのように口に当てながらにかっと笑う彼女。
ちょっとだけ彼の機嫌を良くする秘密の呪文。


  この場合、男の子がヘタレ希望。<ぉ





034.魔法

箒に乗れたらいい。
小さな杖を持って呪文を唱えたら、たちまち料理が出てきたらいい。
西欧の小説を読みながらいいなぁ、と思う。
あいつの心が見えたらいい。
そうしたら話すときあんなに焦ってあがらないのに。
ページをめくって、ドラゴンと戦う。
…ううむ、魔法使いはちょっと大変だ、なれそうもない。
魔法を習得してもドラゴンと戦える自信がないので、
当分あいつの心は読めないまま、どきどきのままで、いいです。


  いや、ドラゴンと戦わなければならないわけではないのですがお嬢さん。





035.ごみ箱

缶ビン燃えない燃える。
缶ビン燃える燃える缶燃える燃えない。
なんだってもう文化祭実行委員になってまでごみの仕分けなんだ。
私はもっと表立った仕事したかったわよ。
司会とか開会宣言とかBGMの選曲結果発表とか。
燃える燃えない…これは?とりあえず燃えるにしちゃえ。
「これは燃えないでいいですかね?」
片手とたこ焼きの食べた後の舟と爪楊枝が視界の七割を占めた。
「えーと、舟は燃えないで爪楊枝は燃えます」
彼との出会いがごみ箱の前だったなんて。
もうちょっと良い感じのシチュエーションにしてくれたっていいじゃないですか。
実行委員の仕事真面目にやってるんだから、ねぇ、神様。


  実行委員なんてもんは得てして裏方ですよ。





036.鈴蘭

五月一日に鈴蘭を贈ると相手に幸福が訪れると言われる(仏)。
「やっぱ何かおフランス〜って感じよねぇ〜」
「何が」
「素でロマンチック街道を行く所が」
「そうか、お前は今全力で逆走してるぞ、大丈夫か」
「むっ、何よ、私もだからあんたに鈴蘭持ってきてやったのに」
「…へぇ?」
彼女が開けた鞄の中に入っていたものは。
鈴蘭の香りがするという、洗濯洗剤一つだった。


  ♪綺麗な白さ鈴蘭の香り〜ニュー○ーズ〜。





037.巣作り

暖かい春の陽気の訪れとさえずり始める鳥の鳴く声。
冬でも確かに鳴いていた筈なのに、どうも印象深くなる。
公園の植木の影から飛び出てくる鳥のくちばしには小枝。
何回も何回もそこを往復して、小さな住処を形作る。
その巣作りを最初に見つけたのは同じ部活のあいつで。
私に言ったことは忘れただろうが、私は毎日覗いてた。
完成した日、私とあいつはその下を手を繋いで見上げた。


  それが付き合ったんじゃなくて自然に繋いでしまったとか希望。





038.あいつの事情

「寒そう」
「何言ってんのよ。今、夏じゃない?」
「そうだけど、その腕丸出しの服は関心せんなぁ」
「うっわ、親父くさ。キャミソールぐらい名前知ってなさいよね?」
「…いや、はい」
「可愛いから建物入った時の多少の寒さも耐えるものよ」
「いや、俺も耐えてるというか何と言うか。です。」
「は?」
あいつの事情なんて分からないまま。


  いずれ分かります。





039.希望的観測

あーうん、俺の希望的観測によると明日は晴れます。
なんでって…そりゃ、明日は君との初デートだからっしょ。
晴れます。
俺が言ってるんだから間違いなし。
彼の携帯には天気予報のブックマークが。
本日のパケット料金は普段の倍の値段が。


  こっそり何回も調べてたのです。観測してません。





040.空の彼方に見えるもの

「何か見える?」
「んにゃ、空見てるだけ」
「ほう、それは女子高生のお昼休みっぽいですな」
「そうですな。女子高生してますな」
「物憂げなワタシ、みたいな感じですな」
「全くです」
「…元気出せよー」
「…おー。…いやはや、せーしゅんのいちぺーじですな」
青春の青はきっと空の色で、きっとその向こうには新しい未来がある。


  中高生の頃、わざとらしい言葉とか使いませんでした?




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