061.小娘

「やだ!離してよ!」
「やだ」
「なんでよ!」
「離したらお前さんまた逃げ出して森に入っちまうだろうが」
「むー」
「むーじゃねぇの。俺の仕事はここに誰も入れないことなんだからな」
「いいじゃないのちょっとくらい」
「駄目だと言ってるだろう」
「ねぇ、お願い」
「…本当、こうしてたら、ただの小娘なんだがなぁ」
「何よ」
「お前さんがこの国の姫さんだとは思えなくなっているところさ」


  姫の権限とかそういうのを使わないあたり、まだ可愛いもんです。





062.意見

「はいはーい、私は賛成〜」
「…俺は反対だな」
「俺も」
「あら、私は賛成よ?男性陣はびびっちゃってるんじゃないの?」
「何をぅ?」
「あーら本当のことを言ったまでだけど」
がたんと音をたててイスを倒しながら勢いのまま立つ。
「やるかこの!」
「暴力で、とかなら、私、怒りますよ」
「お前ら落ち着けっての!」
こうなると傍から見ると、意見交換ではなくただの喧嘩。
でも彼ら四人は自分は意見を言っていると思っているあたり、手に負えない所である。


  モデルがいますよこの四人(笑)





063.鎖

こんなものに縛られて。
あたしはどうなるの。
最低男に縛られて。
あんたの言葉一つ一つに反応して。
どうして、どうして、あたしはあんたのおもちゃじゃないよ。
そんな、変に、キレイに、格好良く、あたしに笑いかけないでよ。
そんなの、本物の笑顔じゃないくせに。
それでも、逃れられないよ。
あんたという鎖に、あたしはからまれる。


  惚れた弱み?





064.轍

「ねぇ」
「んー?」
「これから、どこ行く?」
「そうだなぁ、決めてなかった」
「適当だなぁ。あ、僕ね、ここ行ってみたいんだけど」
「どこ」
「これこれ。ったく、地図見てよ。この街!港だし美味しい魚食べれるかもよ」
「魚かー、うん、いいな。じゃあそこ行こうか!」
キーを回してエンジンをかけて。
「出発!」
僕らの轍はどこまでも続いてく。


  サザンの「希望の轍」って曲、好きです〜。





065.I believe you.

スクープ!浮気現場!
写真と、でかでかと黒板に書かれたチョークの文字。
写真はぼんやりとしか写っていないが、たぶん、いや確かに自分だ。
こんなこと、したの、誰…。
友達の恋人と話をしていただけなのに。
その時、こけそうになった私を支えてくれただけなのに。
どうして、どうしてよ、こんなこと、だれが。
始業ベルが鳴る。
呆然としたまま席につくと、隣の席の友達がメモを寄越した。
『I believe you.』
独特の筆記体で書かれたそれと、彼女の苦笑に、ただ、なんとなく泣きそうになった。


  何故に英語で書く必要があるのだ、友達。<ぉ





066.大嫌い。

「大嫌い。」
私の心を見透かしてるみたいに威圧的に言うから。
「大嫌い。」
私の身体を易々と抱き上げたから。
「大嫌い。」
私の意見を軽々しく一蹴したから。
「大嫌い。」
私を好きなんて言うから。
「ホント、あんたなんて大嫌いよ。」


  嫌いと好きは紙一重。





067.でも。

あなたがすきです。
でも。
あなたにはあなたのゆめがあることをしっています。
わたしがあなたをすきといって。
あなたがわたしのことを、もし、ちょっとでもすきでいてくれたら。
そのゆめはとおくなってしまうような。
そんなゆめですね。
だから、わたしはあなたに「すき」と、けっしていいません。
いいたく、ない、のです。
でも。
どこかで、そう、こころのどこかでおもっています。
「あなたがすき」
そう、あなたにむかっていいたい。


  いいたくないかんじょうといいたいかんじょうがまじる。





068.ベクトル

ベクトルって何よ。
全然分かんなくて友達にこっそり訊いたら、「方向のこと」。
たったそれだけ返された。
ちょっと納得。
そしたら思った。
好きの気持ちもベクトルで表せればいいのに。
私の好きの長さなんて地球一周してからの距離なんだから。
数学のノートに矢印を書いて、欄外にこっそり私から好きな人への矢印も。
こっちからもだったらいいのに。
こっそりこっそり書いたのは好きな人から私への矢印。


  位置ベクトルとか0ベクトルとか懐かしいです。





069.徒然

「つれづれなるままに…」
「げ、覚える気なの?」
「古典って覚えた方が参考書読むより点数取れるし」
そう言った彼の住所はもうどこに行ったか。
飄々として、中学生特有のグループに入らなかったあいつ。
勉強は出来たけど、ガリガリやってるんじゃなくて、彼自身の生活スタイルに合っていたように思う。
社会人になった今、ふと思う。
あいつのことだ。
徒然なるままに、日、暮らしてんだろうな。


  本当です、古典は覚えた方がいいです。





070.バンド

スポーツは苦手だ。
特に球技は苦手中の苦手だ。
ボールが飛んでくるとそれだけで目をつぶってしまう。
そんな私が嫌々ながらも参加している現在、3時間目体育。
ああもうすぐご飯だよ早くチャイム鳴らないかな。
「ストライク」
そんな審判のコールとちゃんと打てという味方の声が混じる。
野球で打つ、なんてやったことないんだってば。
振っても無駄だってば。
「ストライクツー」
ほら。
振ったけど見当違いだったでしょうが。
仕方なく私はバッドを水平にしてこつんと当てるだけの作戦に出た。
こつん。
当たった。
そのままとりあえず一塁へダッシュ。
あーあ、また駄目だった。
そんな時、セーフの声がした。
どうやらセーフティバンドとかいうやつだったらしい。
私は野球だけは好きになりそうだ。


  単純やなこの子は。




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